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古澤りつ子『ほどけゆく春』
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最愛の母の死、売られゆく故郷の家、コロナの憂い。
瓦礫に立つ兵士は月を見上げ、魚たちは水槽で涙を流す。
耐えるほかない季節ののち、聖歌が波となって湖に打ち寄せ、
みずからをほどき、すべてをほどくかのように、みちのくの春は訪れる――。
繊細を究める言葉選びで日々を受け止めた第二歌集。
戦場の瓦礫に立ちてストロベリームーン見上ぐる兵士もいんか
魚らの涙も混じる水ならん水槽のみず替えつつおもう
屋上の観覧車から見渡せる世界が全てだったかの日よ
雪解けの水さらさらと放たれて榛の林にほどけゆく春
礼拝の静けさに似る春の湖【うみ】聖歌のように波は寄せ来る
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