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秋のひかり
¥2,970
沼沢修君は、正真正銘の「みちのくびと」である。 「みちのく」への思いは優しく深い。しかも、歌の内容は多彩で美しい。啄木にとって「ふるさとの山」は岩手山だったが、沼沢君にとってそれは月山と鳥海山であると言ってよい。 岡本 勝 芭蕉越えし猿羽根(さばね)峠のやまざくら残雪ほそる谿に散りゆく 羽根ひろげ秋のひかりに落つるときおのずから光(て)る科(しな)の木の実は 雪道に濡れつつわれを待ちし母想えば母がふる里なりき 定価:2970円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:214頁 ISBN:978-4-86534-430-1 発行日:2023年9月7日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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金沢青雨歌集『またね』
¥2,200
「詠み手は、心が動くふとした瞬間のきらめきを逃すまいという抑えがたい衝動に駆られ、歌を詠みます」 本歌集の「あとがき」にそうあった。驚いた。私は必ずしもこうは思わない。けれども金沢さんはそのように断言している。そしてこの断言に私は胸を打たれる。 染野太朗「跋 きらめきについて」 淡雪は紫苑に染まる夕暮れにやわらかく舞いレンガを包む 地より湧く水を手桶になみなみと満たせど漏れつ逢わずにいれば すこしだけひとりになって考えるそしたらあすからまたがんばれる 定価:2,200円(税込) 判型:四六判変形 頁数:110頁 ISBN:978-4-86534-427-1 初版:2023年8月10日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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長谷川麟歌集『延長戦』
¥2,200
第10回現代短歌社賞の長谷川麟が描く、 僕らの僕らによる僕らのための延長戦の記録。 いい映画だったね、とだけ言うことに決めてからエンドロールが長い 空振ったけれどもこれは悪くないスイング 春は一気に迫る アルティメット大好き級の恋だからグラップラー刃牙全巻売った 定価:2200円(税込) 判型:四六判変形 頁数:228頁 ISBN:978-4-86534-426-4 発行日:2023年7月23日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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中村ヨリ子歌集『徳不孤(とくはこならず)』
¥2,750
長く苦しい葛藤の時が過ぎ、 心静かに茶の湯をたのしむ今がある。 徳を積めば、必ず助けてくれる人がいる—— 遠く故郷に掛けられた一扁の額に、 人生を導かれるかのように。 目の子算できないほどにさくらの葉散れば梅雨明け沖縄の地は 早朝の茶会に遅れ来るという一人のために炭を継ぎ足す 客人と幾度行きしや首里城の優待券の二枚が残る 「おいしくないから食べて」と言いし義母のように辺野古に言うか普天間基地を わが一生大河ドラマを演じたと思えばよろし誰も恨むな 定価:2750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:218頁 ISBN:978-4-86534-425-7 発行日:2023年6月24日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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佐々木剛輔歌集『〈新版〉棄民』
¥880
著者が生涯をかけて詠い続ける満州の記憶。 歌集『棄民』に『満蒙開拓国策愚か』より100余首を収録、再編集して文庫化。 解説=橋本喜典 文庫版解説=染野太朗 白地図の「満州」に赤き色を塗るぬり絵あそびは遊びにあらず 定価:880円(税込) 判型:文庫判 頁数:150頁 ISBN:978-4-86534-408-0 発行日:2023年6月30日 発行:現代短歌社
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長澤一作歌集『春の残照』
¥2,970
17歳で佐藤佐太郎に師事し、写実の刷新に努めた長澤一作の遺歌集を没後10年を記念して刊行。61歳から87歳までの2000首余りを収録。 あぢさゐの花暗みゆくかなたにて梅雨の曇ににじむ夕映 池水の濁り揺らぐと思ふとき用あるごとく亀浮びくる 浅宵の小公園によどみゐる栗の花の香よぎりて帰る 定価:2970円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:422頁 ISBN:978-4-86534-423-3 発行日:2023年6月24日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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梅津純子歌集『白き川』
¥2,750
秩序を失った世界を厳しいまなざしで見つめる、「山麓」所属の著者の第二歌集。 年だから女だから一人だからイザベラ・バードの辞書に無かりき 万策の未だ尽きぬに果てし知事悼みてわれも雨の七万人 除雪機の青と黄色が陽を返すウクライナの子らに春はいつ来る 定価:2,750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:268頁 ISBN:978-4-86534-421-9 初版:2023年4月28日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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田宮智美歌集『にず』
¥2,200
私は田宮さんにお会いしたことはない。でも、遠くで戦っているあなたを、ずっと知っていたような気がする。 北山あさひ(「栞」より) 電柱の根元にタンポポ咲いていて 生命保険審査に落ちる こんなにも美味しいわたしの唐揚げをわたし一人が食べている夜 しあわせな歌が詠みたい誰からも全然ほめられなくていいから 定価:2000円(税別) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:176ページ ISBN: 978-4-86534-330-4 発行日:2020年7月15日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第29篇)
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山中律雄歌集『淡黄』
¥3,300
若き日に、川島喜代詩の添削を受け、「没すべき細部」などの骨法を学んだ著者。 佐藤佐太郎から川島喜代詩へと続くうたの流れに、おのれを濯ぎながら、到り着いた境地がここにある。 病を得て生死と向き合った圧巻の連作を収める第五歌集。 海上に雲去りゆきてはつ夏の風吹く街は空軽くなる 墨染めの僧衣まとひて乗るバスのわれの傍へに人は座らず 追熟を待てと言はれしマンゴーをその日に食ひてほぼ無駄にする 死者生者けぢめなくして暁の夢に睦みて言葉をかはす 満開とおもひて桜あふぎしが二日経てけふかがやきを増す 定価:3300円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:198頁 ISBN:978-4-86534-401-1 発行日:2022年9月17日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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田村穂隆歌集『湖とファルセット』
¥2,200
肉体に封じこめられた魂。湖のむこう岸のように遠く、かすかにひびくその声【ファルセット】が今日も聴こえる—。第8回現代短歌社賞次席の著者の、清冽なデビュー作。 栞=内山晶太・川野芽生・阿木津英 そうか、僕は怒りたかったのだ、ずっと。樹を切り倒すように話した 定価:2,200円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:176頁 ISBN:978-4-86534-362-5 発行日:2022年3月1日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第42篇)
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吉川宏志歌集『雪の偶然』
¥2,970
修辞は、想像力は、ここまで磨きぬかれた。 世界の惨を、歌い尽くすために。 言葉は、ついに、無力だった、と証すために。 言葉より狂いはじめし世にありて紅葉は何の内臓ならむ 慰安所の扉に続く列がある 水溜まりを避けて途切れたる列 幼な子が見しものは絵に残されて踊るごとし銃に撃たれたる人 銃床に使われるというクルミの木 枝をくぐりて雪は降り来る 匙もつ手 鱈をさばく手 ウラジーミル・プーチンと書き紙を折りし手 定価:2970円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:240頁 ISBN:978-4-86534-422-6 発行日:2023年3月25日 発行:現代短歌社
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佐々木漕歌集『天飛む』
¥2,750
佐々木さんの歌たちに、僕は面従腹背のポエジーを見る。 この徒労あふれる不条理の世を、微苦笑の詩で討ち、 ひとりの魂の揺らぎが刻印されるのを見る。 黒瀬珂瀾 第7回現代短歌社賞佳作の著者の第一歌集。 スタバこそ悲しきものを夕べまた峠を越えて尋ねゆきたり ちゅうしんが私のなかでかたむける五月雨色の椅子に耐え来し 妻ふいに仕事やめたらというときに天飛む軽き心となれり 定価:2,750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:214頁 ISBN:978-4-86534-419-6 発行日:2023年4月12日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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川上まなみ歌集『日々に木々ときどき風が吹いてきて』
¥2,200
うたは風を奏でる、 あなたが世界を諦めてしまわないように。 第9回現代短歌社賞次席の著者の第一歌集。 可燃ごみまとめて捨てにゆくときの朝のこんなにきれいな鼓動 教卓の前に座ってあこがれの人を光に例えている子 泣けばいいのに泣かないからよ 妹はパン生地をこねながら笑った 「ARBEIT MACHT FREI」の看板をぬけるとき耳に薄氷を張る 出勤の車の中で泣くような春になっても春は好きだな 定価:2200円(税込) 判型:四六判変型ソフトカバー 頁数:172頁 発行日:2023年3月19日 ISBN:978-4-86534-420-2 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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春日いづみ著『シネマ交響曲』
¥1,980
映画が芸術であることを上映を通じて示し、2022年7月に惜しまれつつ閉館した岩波ホール。 著者はこのホールで1983年より30年にわたり上映作品のパンフレットのシナリオ採録に携わった。 映画を主題とする珠玉のエッセイに、既刊歌集より短歌作品62首を付す。 定価:1980円(税込) 判型:新書判ソフトカバー 頁数:168頁 ISBN:978-4-86534-400-4 発行日:2023年1月26日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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永井亘歌集『空間における殺人の再現』
¥2,420
第9回現代短歌社賞受賞の奇才、ここにデビュー。 生きるとき死体はないが探偵は文字をひらめく棺のように カナリアが微笑みながらどの声のあなたが老いていくのだろうか トリックが僕の自由を手に入れて死んでも驚かなくていいよ 夏にして言うべきことは叙景へとやわらぐ光なのに言えない どんなに長く雲の中を歩いても雷に打たれないのは運命だからかな 定価:2420円(税込) 判型:A5判変型ハードカバー 頁数:260頁 発行日:2022年12月25日 ISBN:978-4-86534-415-8 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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髙橋みずほ歌集『野にある』
¥3,300
遠く北の地から広範囲の太平洋沖でおきた巨大地震から十一年の歳月が過ぎた。その地をふるさとと呼ぶ者にとって、震災後はじめて降り立った新幹線の駅の空気感はからだの奥深く染み込んで今もある。(略)そして十年が過ぎてからはじめて、目の前にしたものが言葉となった。 (本書「野に思う」より) 振り向いてここに人がいたひろがりに深くひとたちがいる 髙橋みずほは、野にたたずむ歌人である。 その声は、吹く風にかき消され、途切れては、紡がれる。 それは短歌なのだと気づいて、私たちは定型詩の残響をとらえようと耳を凝らす。 風の音のむこうに、言葉になりえなかった、沈黙の声が聴こえる--。第十歌集。 定価:3300円(税込) 判型:A5判変型ハードカバー 頁数:200頁 発行日:2022年11月24日 ISBN:978-4-86534-410-3 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第48篇)
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打矢京子歌集『冬芽』
¥2,750
第9回現代短歌社賞受賞作 この歌集の世界は、単なる現在ではない。一冊の歌集になるまでにも幾度も同じような過去が積み重なっている。それが未来へとつづき、そこにまた同じような人生がある。循環、複層化する時間・空間が「遠い未来の昔」をつくる。だからだろうか、どこか恐ろしいものを感ずるのだ。生きているのは風土の方で人は何ほどのものではないと。それがこの歌集の魅力の根基であろう。(一ノ関忠人「栞」より) 栞=一ノ関忠人・黒瀬珂瀾・阿木津英 雪しろを遠くはこびて来し川の終はりて海とひかり溶けあふ 寒の日の浜辺の丘に建つ墓のみなひとかたに雪の張りつく 夜の空をこゑ移りきて白鳥が街の灯りにたまゆら浮かぶ 雪の田のみづからの影吸ひあげて白鳥幾羽空へ飛び立つ 在りし日の父母を思ひてわれら亡き後をし思ひ仏具を磨く 定価:2750円(税込) 判型:四六判変型本フランス装 頁数:196頁 ISBN:978-4-86534-409-7 発行日:2022年10月26日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第49篇)
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前田康子歌集『おかえり、いってらっしゃい』
¥2,200
前田康子は森羅万象を等しく母の眼で見ている。水俣を、長島愛生園を、辺野古を、撲り殺されるアホウドリを、腹ぺこの熊を、路傍の草花を、同じ眼差しで捉えている。本当の事を知る者の冷えきった哀しみと、母としての祈りと。だから、その歌をポケットにしのばせておきたくなるのだ。「古ぼけたお守り」のように。 第5回佐藤佐太郎短歌賞受賞後初となる第六歌集。 会うたびにどこから来たの 朝顔の頃あなたからこぼれ落ちたよ ひんやりと足踏みミシンに秋が来て踏めば遠くに行けるだろうか 桜いろ桃いろやさしき赤紙は物資不足のゆえと書かれき おかえりといってらっしゃい言えぬ場所へ子ら二人とも行ってしまえり ひと粒のぶどうは丸く閉じたのに私の歯もて剖【ひら】かれてゆく 定価:2200円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:188頁 ISBN:978-4-86534-405-9 発行日:2022年8月26日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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川本千栄著『キマイラ文語』
¥1,650
明治の和歌革新運動によって短歌は文語/口語のキマイラとなった。その100年後、SNSの普及が短歌の口語化に第二のパラダイムシフトをもたらした。言葉は変化し続け、今日の口語は、明日には古びた文語となる宿命にある。著者は本書を通じて、こう提言するーー。 もうやめませんか? 「文語/口語」の線引き 本書の内容 Ⅰ キマイラ文語 キマイラ文語/ぬえとキマイラ/現代短歌の文語のルーツ/和歌と狂歌が並立した近世/香川景 樹が「旧派」となるまで Ⅱ 近代文語の賞味期限 増殖する擬古語/ら抜き言葉と創作文語/短歌の歴史は口語化の歴史/『広辞苑』第三版とやさしい日本語/SNSと第二の言文一致/短歌口語化の伏流水~古語を使う人々/時はながれ「た」/繋がないままの歌 Ⅲ ニューウェーブ世代の検証 ニューウェーブ終焉時を振り返る/俵万智の教師詠/加藤治郎のオノマトペ/荻原裕幸の語彙/水原紫苑の「われ」/穂村弘の評論/座談会(2001.10.)/ニューウェーブをあるべき場所に 定価:1650円(税込) 判型:新書判ソフトカバー 頁数:214頁 ISBN:978-4-86534-391-5 発行日:2022年9月5日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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上野久雄歌集『炎涼の星/夕鮎』
¥1,320
近藤芳美の指導を受け、「未来」創刊に参加、「無頼めいたかげりと途方もないやさしさ」(岡井隆)に充ちた魅力的な作品を数多く残した上野久雄。「みぎわ」誌創刊40周年を記念して第一歌集『炎涼の星』、第二歌集『夕鮎』を一冊に収め、文庫として復刊。 序=河野小百合 解説=吉川宏志 階段を拭く吾の手を跨ぎゆくわが顧客銀行員御一行様 珈琲よもっと脹めさびしかる店主の注ぐ熱き湯浴びて 『炎涼の星』 隣室の深夜の音は手のひらに果物をのせて洗えるならん シクラメン選りいる妻をデパートに見て年の瀬の街にまぎるる 『夕鮎』 定価:1320円(税込) 判型:文庫判 頁数:274頁 ISBN:978-4-86534-404-2 発行日:2022年7月25日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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畑中秀一歌集『靴紐の蝶』
¥2,750
第9回現代短歌社賞佳作の著者の第一歌集。 「脳裏に浮かび上がってくるのは、生身の作者の姿というよりは、ビジネスマンの一つの典型というべき某氏である。著者は題材を取捨し、一個人としての自分ではなく、自分を通してビジネスマンの典型的な人物像を浮かび上がらせようとしている。」安田純生 朝とらえ夜とき放つ靴紐の二匹の黒き蝶を飼う日々 半玉のキャベツを買いぬこの街の誰かと今宵分け合いたくて 我もまたその一人にて地下鉄の二分遅れに腕時計見る 肉じゃがの名前に入れてもらえない玉ねぎが好き 私のようで 母逝きしのちの五月もアマゾンの母の日ギフトの案内は来ぬ 定価:2750円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:160頁 ISBN:978-4-86534-403-5 発行日:2022年8月30日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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近現代短歌語誌[鮫島満/著]
¥5,500
斎藤茂吉の創作の秘密の一つは、造語を含むクセの強い語彙にあった!近現代短歌に現われた、辞書にも載っていないクセの強い言葉1018語を豊富な用例とともに解説した労作。 短歌作家が一つの工夫として行っていた造語が私の見方では昭和半ばごろからあまり見られなくなっている。(略)現代短歌はいま表現面、内容面において岐路にさしかかっているようにも思われる。本書は、短くくだいて言えば、近代短歌から現代短歌への流れの中で用いられていた言(コト)のあれこれということになる。(「まえがき」より) 定価:5500円(税込) 判型:A5判ソフトカバー 頁数:496頁 ISBN:978-4-86534-381-6 発行日:2021年11月18日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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吉田直久歌集『縄文の歌人』
¥2,970
華々しく変貌して止むことのない現代短歌の行く末を、「国民文学」の新リーダー吉田直久が、縄文回帰の知の眼光でしっかりと見据えて詠った待望の第一歌集である。 御供平佶 人そして音も行き交ふ渋谷駅立ち尽くす吾もスクランブルの中 春の小川とかつて呼びたる足元の奈落を走る川よ応へよ 隣室の鈍き笑ひのしばしありてドア閉まる音哀しみを持つ 土偶かなし文字持たぬ世の縄文の歌人の心ふとも思へば 微睡みに夏の記憶の浮かび来て時間の海に船を出す夜 定価:2970円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:178頁 ISBN:ISBN978-4-86534-395-3 発行日:2022年7月27日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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今井恵子歌集『運ぶ眼、運ばれる眼』
¥2,970
つきるまで歩くほかなしビルの間を蟻の眼【まなこ】をたずさえ歩く 眼は視ることに飽きている。視なければ歌えないことに辟易している。そんな眼に、今井恵子は揺さぶりをかける。あるときは、眼の佇む場所を、時間の大きな流れのなかで相対化する。あるときは、都電に、自転車に、ひかり号に、船に、熱気球に、モノレールに、眼は空間を運ばれてゆく。眼は自由になりえたか。歌は何を超えようとしたのか。 「眼の移動」について考えた作品を一冊にすることとした。目の移動は、つまり散歩をしながらの嘱目である。(略)地を歩く自分と、交通手段に身を委ねている自分では、風景や人や音や匂いに対面する心の動きが違う気がする。作歌によって、何かの納得が得られるかもしれないと思ったのである。突き詰めれば、自分とは何かということなのだろうが、突き詰めるのは苦手である。 (「あとがき」より) 定価:2970円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:228頁 ISBN:ISBN978-4-86534-389-2 発行日:2022年7月22日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院