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金沢青雨歌集『またね』
¥2,200
「詠み手は、心が動くふとした瞬間のきらめきを逃すまいという抑えがたい衝動に駆られ、歌を詠みます」 本歌集の「あとがき」にそうあった。驚いた。私は必ずしもこうは思わない。けれども金沢さんはそのように断言している。そしてこの断言に私は胸を打たれる。 染野太朗「跋 きらめきについて」 淡雪は紫苑に染まる夕暮れにやわらかく舞いレンガを包む 地より湧く水を手桶になみなみと満たせど漏れつ逢わずにいれば すこしだけひとりになって考えるそしたらあすからまたがんばれる 定価:2,200円(税込) 判型:四六判変形 頁数:110頁 ISBN:978-4-86534-427-1 初版:2023年8月10日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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長谷川麟歌集『延長戦』
¥2,200
第10回現代短歌社賞の長谷川麟が描く、 僕らの僕らによる僕らのための延長戦の記録。 いい映画だったね、とだけ言うことに決めてからエンドロールが長い 空振ったけれどもこれは悪くないスイング 春は一気に迫る アルティメット大好き級の恋だからグラップラー刃牙全巻売った 定価:2200円(税込) 判型:四六判変形 頁数:228頁 ISBN:978-4-86534-426-4 発行日:2023年7月23日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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中村ヨリ子歌集『徳不孤(とくはこならず)』
¥2,750
長く苦しい葛藤の時が過ぎ、 心静かに茶の湯をたのしむ今がある。 徳を積めば、必ず助けてくれる人がいる—— 遠く故郷に掛けられた一扁の額に、 人生を導かれるかのように。 目の子算できないほどにさくらの葉散れば梅雨明け沖縄の地は 早朝の茶会に遅れ来るという一人のために炭を継ぎ足す 客人と幾度行きしや首里城の優待券の二枚が残る 「おいしくないから食べて」と言いし義母のように辺野古に言うか普天間基地を わが一生大河ドラマを演じたと思えばよろし誰も恨むな 定価:2750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:218頁 ISBN:978-4-86534-425-7 発行日:2023年6月24日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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梅津純子歌集『白き川』
¥2,750
秩序を失った世界を厳しいまなざしで見つめる、「山麓」所属の著者の第二歌集。 年だから女だから一人だからイザベラ・バードの辞書に無かりき 万策の未だ尽きぬに果てし知事悼みてわれも雨の七万人 除雪機の青と黄色が陽を返すウクライナの子らに春はいつ来る 定価:2,750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:268頁 ISBN:978-4-86534-421-9 初版:2023年4月28日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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田宮智美歌集『にず』
¥2,200
私は田宮さんにお会いしたことはない。でも、遠くで戦っているあなたを、ずっと知っていたような気がする。 北山あさひ(「栞」より) 電柱の根元にタンポポ咲いていて 生命保険審査に落ちる こんなにも美味しいわたしの唐揚げをわたし一人が食べている夜 しあわせな歌が詠みたい誰からも全然ほめられなくていいから 定価:2000円(税別) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:176ページ ISBN: 978-4-86534-330-4 発行日:2020年7月15日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第29篇)
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山中律雄歌集『淡黄』
¥3,300
若き日に、川島喜代詩の添削を受け、「没すべき細部」などの骨法を学んだ著者。 佐藤佐太郎から川島喜代詩へと続くうたの流れに、おのれを濯ぎながら、到り着いた境地がここにある。 病を得て生死と向き合った圧巻の連作を収める第五歌集。 海上に雲去りゆきてはつ夏の風吹く街は空軽くなる 墨染めの僧衣まとひて乗るバスのわれの傍へに人は座らず 追熟を待てと言はれしマンゴーをその日に食ひてほぼ無駄にする 死者生者けぢめなくして暁の夢に睦みて言葉をかはす 満開とおもひて桜あふぎしが二日経てけふかがやきを増す 定価:3300円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:198頁 ISBN:978-4-86534-401-1 発行日:2022年9月17日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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田村穂隆歌集『湖とファルセット』
¥2,200
肉体に封じこめられた魂。湖のむこう岸のように遠く、かすかにひびくその声【ファルセット】が今日も聴こえる—。第8回現代短歌社賞次席の著者の、清冽なデビュー作。 栞=内山晶太・川野芽生・阿木津英 そうか、僕は怒りたかったのだ、ずっと。樹を切り倒すように話した 定価:2,200円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:176頁 ISBN:978-4-86534-362-5 発行日:2022年3月1日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第42篇)
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吉川宏志歌集『雪の偶然』
¥2,970
修辞は、想像力は、ここまで磨きぬかれた。 世界の惨を、歌い尽くすために。 言葉は、ついに、無力だった、と証すために。 言葉より狂いはじめし世にありて紅葉は何の内臓ならむ 慰安所の扉に続く列がある 水溜まりを避けて途切れたる列 幼な子が見しものは絵に残されて踊るごとし銃に撃たれたる人 銃床に使われるというクルミの木 枝をくぐりて雪は降り来る 匙もつ手 鱈をさばく手 ウラジーミル・プーチンと書き紙を折りし手 定価:2970円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:240頁 ISBN:978-4-86534-422-6 発行日:2023年3月25日 発行:現代短歌社
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佐々木漕歌集『天飛む』
¥2,750
佐々木さんの歌たちに、僕は面従腹背のポエジーを見る。 この徒労あふれる不条理の世を、微苦笑の詩で討ち、 ひとりの魂の揺らぎが刻印されるのを見る。 黒瀬珂瀾 第7回現代短歌社賞佳作の著者の第一歌集。 スタバこそ悲しきものを夕べまた峠を越えて尋ねゆきたり ちゅうしんが私のなかでかたむける五月雨色の椅子に耐え来し 妻ふいに仕事やめたらというときに天飛む軽き心となれり 定価:2,750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:214頁 ISBN:978-4-86534-419-6 発行日:2023年4月12日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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川上まなみ歌集『日々に木々ときどき風が吹いてきて』
¥2,200
うたは風を奏でる、 あなたが世界を諦めてしまわないように。 第9回現代短歌社賞次席の著者の第一歌集。 可燃ごみまとめて捨てにゆくときの朝のこんなにきれいな鼓動 教卓の前に座ってあこがれの人を光に例えている子 泣けばいいのに泣かないからよ 妹はパン生地をこねながら笑った 「ARBEIT MACHT FREI」の看板をぬけるとき耳に薄氷を張る 出勤の車の中で泣くような春になっても春は好きだな 定価:2200円(税込) 判型:四六判変型ソフトカバー 頁数:172頁 発行日:2023年3月19日 ISBN:978-4-86534-420-2 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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永井亘歌集『空間における殺人の再現』
¥2,420
第9回現代短歌社賞受賞の奇才、ここにデビュー。 生きるとき死体はないが探偵は文字をひらめく棺のように カナリアが微笑みながらどの声のあなたが老いていくのだろうか トリックが僕の自由を手に入れて死んでも驚かなくていいよ 夏にして言うべきことは叙景へとやわらぐ光なのに言えない どんなに長く雲の中を歩いても雷に打たれないのは運命だからかな 定価:2420円(税込) 判型:A5判変型ハードカバー 頁数:260頁 発行日:2022年12月25日 ISBN:978-4-86534-415-8 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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髙橋みずほ歌集『野にある』
¥3,300
遠く北の地から広範囲の太平洋沖でおきた巨大地震から十一年の歳月が過ぎた。その地をふるさとと呼ぶ者にとって、震災後はじめて降り立った新幹線の駅の空気感はからだの奥深く染み込んで今もある。(略)そして十年が過ぎてからはじめて、目の前にしたものが言葉となった。 (本書「野に思う」より) 振り向いてここに人がいたひろがりに深くひとたちがいる 髙橋みずほは、野にたたずむ歌人である。 その声は、吹く風にかき消され、途切れては、紡がれる。 それは短歌なのだと気づいて、私たちは定型詩の残響をとらえようと耳を凝らす。 風の音のむこうに、言葉になりえなかった、沈黙の声が聴こえる--。第十歌集。 定価:3300円(税込) 判型:A5判変型ハードカバー 頁数:200頁 発行日:2022年11月24日 ISBN:978-4-86534-410-3 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第48篇)
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打矢京子歌集『冬芽』
¥2,750
第9回現代短歌社賞受賞作 この歌集の世界は、単なる現在ではない。一冊の歌集になるまでにも幾度も同じような過去が積み重なっている。それが未来へとつづき、そこにまた同じような人生がある。循環、複層化する時間・空間が「遠い未来の昔」をつくる。だからだろうか、どこか恐ろしいものを感ずるのだ。生きているのは風土の方で人は何ほどのものではないと。それがこの歌集の魅力の根基であろう。(一ノ関忠人「栞」より) 栞=一ノ関忠人・黒瀬珂瀾・阿木津英 雪しろを遠くはこびて来し川の終はりて海とひかり溶けあふ 寒の日の浜辺の丘に建つ墓のみなひとかたに雪の張りつく 夜の空をこゑ移りきて白鳥が街の灯りにたまゆら浮かぶ 雪の田のみづからの影吸ひあげて白鳥幾羽空へ飛び立つ 在りし日の父母を思ひてわれら亡き後をし思ひ仏具を磨く 定価:2750円(税込) 判型:四六判変型本フランス装 頁数:196頁 ISBN:978-4-86534-409-7 発行日:2022年10月26日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第49篇)
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前田康子歌集『おかえり、いってらっしゃい』
¥2,200
前田康子は森羅万象を等しく母の眼で見ている。水俣を、長島愛生園を、辺野古を、撲り殺されるアホウドリを、腹ぺこの熊を、路傍の草花を、同じ眼差しで捉えている。本当の事を知る者の冷えきった哀しみと、母としての祈りと。だから、その歌をポケットにしのばせておきたくなるのだ。「古ぼけたお守り」のように。 第5回佐藤佐太郎短歌賞受賞後初となる第六歌集。 会うたびにどこから来たの 朝顔の頃あなたからこぼれ落ちたよ ひんやりと足踏みミシンに秋が来て踏めば遠くに行けるだろうか 桜いろ桃いろやさしき赤紙は物資不足のゆえと書かれき おかえりといってらっしゃい言えぬ場所へ子ら二人とも行ってしまえり ひと粒のぶどうは丸く閉じたのに私の歯もて剖【ひら】かれてゆく 定価:2200円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:188頁 ISBN:978-4-86534-405-9 発行日:2022年8月26日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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畑中秀一歌集『靴紐の蝶』
¥2,750
第9回現代短歌社賞佳作の著者の第一歌集。 「脳裏に浮かび上がってくるのは、生身の作者の姿というよりは、ビジネスマンの一つの典型というべき某氏である。著者は題材を取捨し、一個人としての自分ではなく、自分を通してビジネスマンの典型的な人物像を浮かび上がらせようとしている。」安田純生 朝とらえ夜とき放つ靴紐の二匹の黒き蝶を飼う日々 半玉のキャベツを買いぬこの街の誰かと今宵分け合いたくて 我もまたその一人にて地下鉄の二分遅れに腕時計見る 肉じゃがの名前に入れてもらえない玉ねぎが好き 私のようで 母逝きしのちの五月もアマゾンの母の日ギフトの案内は来ぬ 定価:2750円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:160頁 ISBN:978-4-86534-403-5 発行日:2022年8月30日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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吉田直久歌集『縄文の歌人』
¥2,970
華々しく変貌して止むことのない現代短歌の行く末を、「国民文学」の新リーダー吉田直久が、縄文回帰の知の眼光でしっかりと見据えて詠った待望の第一歌集である。 御供平佶 人そして音も行き交ふ渋谷駅立ち尽くす吾もスクランブルの中 春の小川とかつて呼びたる足元の奈落を走る川よ応へよ 隣室の鈍き笑ひのしばしありてドア閉まる音哀しみを持つ 土偶かなし文字持たぬ世の縄文の歌人の心ふとも思へば 微睡みに夏の記憶の浮かび来て時間の海に船を出す夜 定価:2970円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:178頁 ISBN:ISBN978-4-86534-395-3 発行日:2022年7月27日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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今井恵子歌集『運ぶ眼、運ばれる眼』
¥2,970
つきるまで歩くほかなしビルの間を蟻の眼【まなこ】をたずさえ歩く 眼は視ることに飽きている。視なければ歌えないことに辟易している。そんな眼に、今井恵子は揺さぶりをかける。あるときは、眼の佇む場所を、時間の大きな流れのなかで相対化する。あるときは、都電に、自転車に、ひかり号に、船に、熱気球に、モノレールに、眼は空間を運ばれてゆく。眼は自由になりえたか。歌は何を超えようとしたのか。 「眼の移動」について考えた作品を一冊にすることとした。目の移動は、つまり散歩をしながらの嘱目である。(略)地を歩く自分と、交通手段に身を委ねている自分では、風景や人や音や匂いに対面する心の動きが違う気がする。作歌によって、何かの納得が得られるかもしれないと思ったのである。突き詰めれば、自分とは何かということなのだろうが、突き詰めるのは苦手である。 (「あとがき」より) 定価:2970円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:228頁 ISBN:ISBN978-4-86534-389-2 発行日:2022年7月22日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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中林祥江歌集『草に追はれて』
¥2,750
ユーモアは本人がいたって真面目だからこそ面白いのだろう。いわゆるウケを狙って詠まれた歌とは違う。 そのため、一歩進むとユーモアは批評性を帯びていく。(松村正直 跋より) 無花果栽培のかたわら詠み溜めた歌がみずみずしい香を放つ第一歌集。 十月の畑に生れたる歌ひとつとどめし紙は土の匂ひす オリーブは気弱な木なり夫と伐る相談するうち枯れてしまへり 満開の白木蓮の枝くぐり役場の人が詫びにくるなり 定価:2750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:208頁 ISBN:ISBN978-4-86534-379-3 発行日:2021年12月10日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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山下翔歌集『meal』
¥2,200
SOLD OUT
gift10叢書第41篇 「食べることがとにかく楽しみである。食べること抜きに人生というものを考えることはできない。」(「後記」より) 食べては詠み、詠んでは食べる。その旺盛な食欲と創作欲が子規をも彷彿させる、山下翔の第2歌集。 ぬるい寿司腹へおとしてかすかある酢飯のにほひ夏を濃くする 家にひとつの家の味あるかなしみをお盆が来ればおもひ出だしぬ 卵かけご飯が醬油の味だつたごはんの時間しあはせだつた 定価:2200円(税込) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:332頁 ISBN:ISBN978-4-86534-387-8 発行日:2021年12月25日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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『小島恒久全歌集』
¥6,600
19歳の被爆体験を作歌の原点とし、三池、水俣、知覧、沖縄等に心を寄せて詠み続けた小島恒久。既刊の『原子野』『晩禱』に未刊歌集『曙光』を加えた1983首を収録。 解説=雁部貞夫、随想=佐藤嘉一。 友さがし探しえざりし原子野にあきつ飛びゐき幻のごと カフカ愛せしミレナの灰も沈みゐむこのラーゲルの凍てし湖底に 駅弁のふたの飯つぶまづ食べる飢ゑの世を生きしわれら同期会 定価:6600円(税込) 判型:A5判上製函入 頁数:362頁 ISBN:ISBN978-4-86534-378-6 発行日:2021年12月18日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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永田和宏歌集『置行堀』
¥3,300
gift10叢書第40篇 人は誰しも、死者を抱えて生きている。 その死の意味を突き詰めるとき、 歌はアフォリズムのごとき静寂に充ちてゆく。 みずからを死者の眼で見つめる歌には ユーモアとペーソスが漂う。 この世に置いてきぼりにされた者のしんとした さびしさが立ち上がる第十五歌集。 妻と呼ばれてゐたころ人は明るくて竹箒はきはき使ひてゐたり 二人ゐて楽しい筈の人生の筈がわたしを置いて去りにき あなたにはなくてわたしにのみ続く死後とふ時間に水仙が咲く 男三人昼酒を飲む知らぬ間に死んでしまつたあの莫迦野郎 権力にはきつと容易【たやす】く屈するだらう弱きわれゆゑいま発言す 定価:3300円(税込) 判型:A5判ハードカバー 頁数:224頁 ISBN:ISBN978-4-86534-375-5 発行日:2021年11月12日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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三留ひと美歌集『美しき筥』
¥3,080
歌を作る者は多かれ少なかれ社会と繋がって生活をしている。そうであるからこそ、自ずと社会の動きを意識せずに詠まないではいられない。(「あとがき」より) 人界を捉える眼差しと言葉が独自の深まりをみせる第四歌集。 それぞれが自国のCOVID-19とたたかふを第三次世界大戦と呼ぶ ありありて陰画のごとき今となり人が人へと近づけぬとは セシウムといふ名に胸がつぶれたるあの長長しき三月のころ 定価:3080円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:184頁 ISBN:ISBN978-4-86534-384-7 発行日:2021年12月2日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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西藤定歌集『蓮池譜』
¥2,750
第8回現代短歌社賞受賞 gift10叢書第39篇 〈「栞」より〉 先行きの不透明な時代の中で、作者はこれからどう生きていくのか。 そして、作者の持つ知はどこへと向かうのか。(松村正直) どきどきするこの気分はたまらない。定型が出来事を見事なまでに心地よく 招いているから読者のわたしも便乗できる。(谷川由里子) 洒脱に遊んでみせながら、あくまでも従順で、真面目。いな、その遊戯性さえ 真面目さのうちだ。(川野芽生) 沈丁花 架空の文字を考えてそれが漢字に似てしまうまで 橄欖油ためらいがちに鍋へ落ちキリエ雨より海は生まれき 首都高の高さの窓で息をつくあいつはだめですと俺も言う 定価:2750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:198ページ ISBN:978-4-86534-380-9 発行日:2021年9月28日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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中村ヨリ子歌集『おもあい』
¥2,750
会津を離れて夫の郷里の沖縄に移り住み、茶道教室を開く義母のもとで辛酸を嘗めた著者。やがて赦しへと至る心の軌跡が胸を打つ第一歌集。栞=松村正直/恒成美代子/米川千嘉子。 内地なら雪の点前にもてなすを花点前する沖縄二月 きょう床に据えたき花の一輪が有刺鉄線の向こうに咲けり 弟子たちの帰りしあとに夫と喫む薄茶たっぷりおもあいとせん 定価:2750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:194ページ ISBN:978-4-86534-371-7 発行日:2021年9月28日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院