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『万葉集の古代と近代』[内藤明 著]
¥4,180
今日のわたしたちは万葉集をひもとき、額田王や柿本人麻呂ら作者個人の感情表出をそこに読もうとする。だが、それは近代に起きた転倒だった。万葉集においては、人間と自然の、個と集団の、相互性のなかで、さまざまな位相の抒情主体が生成していた。自家中毒を起こしたら、本書を開くとよい。本書がわたしたちを自由にするだろう。 ◇ ここでいう「近代」は、百年余の万葉内部の史における「近代」であり、また万葉集から千数百年を距てた時代としての「近代」の両義を持たせようとしたものである。そして、古代的なるもの、近代的なるものを考えたいと思ったのだが、いかようにとっても近代はとらえがたく、古代や始原への探索は玉葱の皮剥きにも似る。(「あとがき」より) 本書の内容 序 万葉集と現代 Ⅰ うたの構造と様式 第一章 二景対照様式の生成と展開―歌謡・初期万葉・人麻呂歌集 第二章 短歌の二部構造と主体―「見れば……思ほゆ」の型をめぐって 第三章 うたにおける「物」と「思」―人麻呂歌集の寄物陳思歌 Ⅱ 柿本人麻呂作品を読む 第四章 人麻呂歌集七夕歌―七夕歌の生成 第五章 近江荒都歌―構造と位相 第六章 吉野讃歌―歴史と表現 第七章 石見相聞歌―語りと独白 Ⅲ 万葉集の言葉と世界観 第八章 「うつせみ」―讃美と無常 第九章 「みやび」―都市と和歌 第十章 「ますらを」と「たわやめ」―幻想としての性 第十一章 「うれへ」―旅愁と豊饒 高橋虫麻呂の筑波山に登る歌 Ⅳ 万葉集と近代 第十二章 歌人の生成―大伴家持をめぐって 第十三章 万葉集の近代と古代―空穂・茂吉から人麻呂・家持へ 第十四章 「気分」とは何か―窪田空穂と「気分」 Ⅴ 和歌が問いかけるもの 第十五章 うたの始原へ―研究史・和歌の本質と表現 第十六章 和歌・短歌と共同体―うたのゆくえ 四六判ハードカバー376頁 ISBN978-4-86534-354-0 定価 3800円+税
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『白手紙紀行』(泥文庫001)[瀬戸夏子 著]
¥1,320
きれいな、誠実な表情ばかりして、 わたしは無罪だという顔でものを 書いてる人間には全員吐き気がする。 (本書より) 瀬戸夏子の拳は、読書日記のふりをして いきなりキドニーにくる、テンプルにくる。 読めば、打ちのめされるほかないのだ、 本物でありたいと願う、言葉の力に。 定価:1,200円(税別) 判型:文庫判 頁数:252頁 ISBN:978-4-86534-355-7 発行日:2021年2月16日 発行所:泥書房
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『宮地伸一の秀歌』[雁部貞夫 著]
¥2,860
※2020年4月24日販売開始 宮地伸一の秀歌 雁部貞夫/著 アララギ最後の歌人と称すべき宮地伸一の愛弟子だった著者。 宮地の作品世界が凝縮された昭和期の三冊の歌集『町かげの沼』『夏の落葉』『潮差す川』より、 忘れがたい作品を選んで解説、鑑賞。百首選、略年譜を付す。 定価:2,600円(税別) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:210頁 ISBN:978-4-86534-328-1 発行日:2020年4月24日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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アララギの系譜[横山季由 著]
¥2,860
アララギの系譜 横山季由/著 「全体について申しますと、非常に下手だ。これがアララギの詠草だといって世間に出せますか」。 土屋文明は亡くなる二年前、歌会でこう慨嘆した。 アララギの唱導した写生とは、リアリズムとは、何だったのか? 子規の改革からアララギ終焉まで、流れ続けた水脈を、豊富な文献を渉猟しつつたどった労作。 定価:2,600円(税別) 判型:四六判ソフトカバー 頁数:286頁 ISBN:978-4-86534-310-6 発行日:2020年3月26日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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『実録・現代短歌史 現代短歌を評論する会』[外塚喬 著]
¥3,960
片山貞美の差し出した一通の案内状から、その会は始まった。年五回開かれた会合は歌壇ジャーナリズムに一切知らされることがなく、会の発行する「評論通信」もごく限られた者のみに送られた。批評の限りを尽くした歌人たちの肉声をとどめる貴重な記録。 当時の短歌界で華やかに活躍していた歌人に焦点が当てられているわけではない。むしろ、総合誌の巻頭を飾っていたような人の作品を、厳しい目で見ていくことが会としての目的の一つでもあった。(略)誰かが記録として纏めておかなかったら、十年に及ぶ活動が水泡に帰すことは間違いない。事務局を担当した立場上、この仕事は私がしなければという思いが、連載の途中からいっそう強くなった。(「あとがき」より) 書籍データ 定価:3600円(税別) 判型:四六判ハードカバー 頁数:306頁 ISBN:978-4-86534-248-2 発刊日:2019年3月16日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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新版 子規への溯行[大辻隆弘/著]
¥2,860
近代短歌の文学的価値を誰よりも信じ、その魅力を誰よりも熱く語り続ける著者の第一評論集。「私というパラダイム」「私像の時代」等、〈私性〉論に必読の文献を収載。子規150首選と解説を新たに付して現代短歌社選書より復刊 定価:2,600円(税別) 判型:四六判変形ソフトカバー 頁数:363頁 ISBN:978-4-86534-219-2 発行日:2017年10月14日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院(gift10叢書第5篇)
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佐藤佐太郎 純粋短歌の世界[香川哲三/著]
¥3,850
SOLD OUT
第4回(平成28年度)佐藤佐太郎短歌賞 佐藤佐太郎の全13冊の歌集について、作歌の背景や作品世界の深化の足跡をたどり、「純粋短歌」とは何かを具体的かつ平明に解き明かした、歌人佐太郎論の金字塔。 定価:3,500円(税別) 判型:A5判ソフトカバー 頁数:538頁 ISBN:978-4-86534-210-9 発行日:2017年7月18日 発行:現代短歌社
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河野裕子論[大島史洋/著]
¥2,750
第39回(平成28年度)現代短歌大賞 河野裕子の全歌業を辿った、初めての書である。それが、歌人としての河野の出発時から、兄貴のようにいつも近くにいた大島史洋の手になることをとてもうれしく思う。(略)河野の作品が、大島史洋というこれ以上ない読み手を得て、再び読者の目に届くことを、何より喜んでいるのは、河野裕子自身であろう。(永田和宏「帯文」より) 定価:2,500円(税別) 判型:四六判ハードカバー 頁数:233頁 ISBN:978-4-86534-175-1 発行日:2016年9月16日 発行:現代短歌社
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近藤芳美論[大島史洋/著]
¥2,096
戦後歌壇の巨星、近藤芳美に長く師事した著者による評論集。晩年の近藤芳美への貴重なインタビュー、近藤芳美120首選を収録。近藤芳美著作目録、研究書・参考図書・雑誌特集号を附す。 定価:1,905円(税別) 判型:四六判ハードカバー 頁数:224頁 ISBN:978-4-906846-84-9 発行日:2013年7月24日 発行:現代短歌社
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方代を読む[阿木津英/著]
¥2,619
方代の歌は、無名の大衆であることの謳歌である。学問が無くても、エリートにならなくても、金と名誉に縁遠くても、人間として立派に生きていけるのだという自負があり、根づいたものの思想がある。これはマス・メディアの作り出した近代的な〈大衆〉とは似て非なるものであるばかりか、むしろそれをきびしく批判するものである。それゆえに、わたしは方代の歌をこそポスト・モダンと言いたいのである。(「あとがき」より) 定価:2,381円(税別) 判型:四六判ハードカバー 頁数:249頁 ISBN:978-4-906846-20-7 発行日:2012年11月1日 発行:現代短歌社