『万葉集の古代と近代』[内藤明 著]
今日のわたしたちは万葉集をひもとき、額田王や柿本人麻呂ら作者個人の感情表出をそこに読もうとする。だが、それは近代に起きた転倒だった。万葉集においては、人間と自然の、個と集団の、相互性のなかで、さまざまな位相の抒情主体が生成していた。自家中毒を起こしたら、本書を開くとよい。本書がわたしたちを自由にするだろう。
◇
ここでいう「近代」は、百年余の万葉内部の史における「近代」であり、また万葉集から千数百年を距てた時代としての「近代」の両義を持たせようとしたものである。そして、古代的なるもの、近代的なるものを考えたいと思ったのだが、いかようにとっても近代はとらえがたく、古代や始原への探索は玉葱の皮剥きにも似る。(「あとがき」より)
本書の内容
序 万葉集と現代
Ⅰ うたの構造と様式
第一章 二景対照様式の生成と展開―歌謡・初期万葉・人麻呂歌集
第二章 短歌の二部構造と主体―「見れば……思ほゆ」の型をめぐって
第三章 うたにおける「物」と「思」―人麻呂歌集の寄物陳思歌
Ⅱ 柿本人麻呂作品を読む
第四章 人麻呂歌集七夕歌―七夕歌の生成
第五章 近江荒都歌―構造と位相
第六章 吉野讃歌―歴史と表現
第七章 石見相聞歌―語りと独白
Ⅲ 万葉集の言葉と世界観
第八章 「うつせみ」―讃美と無常
第九章 「みやび」―都市と和歌
第十章 「ますらを」と「たわやめ」―幻想としての性
第十一章 「うれへ」―旅愁と豊饒 高橋虫麻呂の筑波山に登る歌
Ⅳ 万葉集と近代
第十二章 歌人の生成―大伴家持をめぐって
第十三章 万葉集の近代と古代―空穂・茂吉から人麻呂・家持へ
第十四章 「気分」とは何か―窪田空穂と「気分」
Ⅴ 和歌が問いかけるもの
第十五章 うたの始原へ―研究史・和歌の本質と表現
第十六章 和歌・短歌と共同体―うたのゆくえ
四六判ハードカバー376頁
ISBN978-4-86534-354-0
定価 3800円+税
ショップの評価
-
現代短歌 2020年11月号
-
岡井隆歌集『斉唱』
-
現代短歌新聞 2021年2月号
現代短歌新聞の作歌相談室が良い。まさに今の悩みと一緒で非常に役に立った。
-
現代短歌 2018年12月号
-
現代短歌 2019年9月号
配送状況の確認を見ると「発送しました」のままで、状況がわかりません。 配達の業者と荷物番号(追跡番号)をつけるか、 いつ頃配達予定、または現在の状況がわかるようなシステムにしていただくと助かります
-
ピクニック[宇都宮敦/著]
商品は綺麗に届きましたが、封筒の宛名が違っていました。
-
メビウスの地平[永田和宏/著]
-
無数の耳[大西民子/著]
-
ガラスの檻[稲葉京子/著]
-
胡麻よ、ひらけ[草柳繁一/著]
-
ピクニック[宇都宮敦/著]
-
さるびあ街[松田さえこ/著]
-
レプリカの鯨[野上卓/著]
-
現代短歌 2018年10月号
-
現代短歌 2018年11月号
-
現代短歌 2018年12月号