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永田和宏歌集『置行堀』

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gift10叢書第40篇

人は誰しも、死者を抱えて生きている。
その死の意味を突き詰めるとき、
歌はアフォリズムのごとき静寂に充ちてゆく。
みずからを死者の眼で見つめる歌には
ユーモアとペーソスが漂う。
この世に置いてきぼりにされた者のしんとした
さびしさが立ち上がる第十五歌集。

妻と呼ばれてゐたころ人は明るくて竹箒はきはき使ひてゐたり
二人ゐて楽しい筈の人生の筈がわたしを置いて去りにき
あなたにはなくてわたしにのみ続く死後とふ時間に水仙が咲く
男三人昼酒を飲む知らぬ間に死んでしまつたあの莫迦野郎
権力にはきつと容易【たやす】く屈するだらう弱きわれゆゑいま発言す

定価:3300円(税込)
判型:A5判ハードカバー
頁数:224頁
ISBN:ISBN978-4-86534-375-5
発行日:2021年11月12日
発行:現代短歌社
発売:三本木書院

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