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ローザ・ルクセンブルク熱き血のロンド 吊されし黎明にまぎれゆかん
擦過するツェラン青空に血はしずまり悲劇は宴する水の足音に
悔しさの距離に海見ぬ雲雀の死ヴェーユは完膚なきまでヴェーユ
こういう作品こそ、江田浩司が前衛短歌の末裔であることを明かしているのだが、 そういう意味でいえば、岡井隆や塚本邦雄や春日井健が切り開いたのは、うたがエロスをうたうだけでなく、タナトスをもうたうというありかたなのである。現代短歌が、 そのことをどこかで忘却しているとするならば、江田浩司の存在は、これまでよりも大きな意味をもってくるのではないだろうか。
神山睦美
作者はこの歌集一巻で、既成に対して、自らの文体や短歌世界を一気に提示しようとしている。まず、その一点突破の姿勢に清々しさを覚えた。第一歌集はこうでなければならない。
谷岡亜紀
歌人江田浩司は圧倒的なドグマを方法として知性の自慰を表現としてみごとに成就させてみせてくれた。
藤原龍一郎
わたしは江田君が、 信ずる所に従つて、 行きつくところまで行くがいいと思ふ。 ただ、わたしもまた、 せい一ぱい目を凝らして、 江田君の歌の行方を見てゐるのだといふことを忘れないでほしい。江田君の本質は、意味偏重の世界(メッセージ派の詩)からはなれて、 蕪村流のロマネスクに遊ぶところにあるのではないか、 とかたく信じてゐるのである。
岡井隆
ISBN978-4-86534-393-9
文庫判242頁
定価 1320円(税込)
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