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続短歌憧憬[橋本喜典/著]
¥3,565
講演録、エッセイ、歌論で親しむ橋本喜典の世界。「昭和三十年、私は第一歌集『冬の旅』を出した。折から歌壇には前衛短歌運動が吹き荒れる。そんな影響から私もあやしげな歌を作ることがあった。ある日、先生は私に言われた。「喜典君、こういう歌を作って面白いかい? 君の『冬の旅』はいい歌集なんだよ」と。ふらふらするな、初心にかえれという、先生独特の叱責のことばであった。」(本書より) 定価:3,241円(税別) 判型:四六判ハードカバー 頁数:358頁 ISBN:978-4-86534-152-2 発行日:2016年4月15日 発行:現代短歌社
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佐藤佐太郎全歌集各句索引[香川哲三/編]
¥1,834
佐藤佐太郎全歌集(現代短歌社文庫)収載の6,524首の全句32,622句を五十音順に配列。 「この索引を横に置いて歌を作る。すると、あなたの歌は確実にランクアップする。」大辻隆弘(「現代短歌」2016年7月号書評より) 定価:1,667円(税別) 判型:文庫判ソフトカバー 頁数:376頁 ISBN:978-4-86534-140-9 発行日:2016年3月1日 発行:現代短歌社 ※歌集本文は『佐藤佐太郎全歌集』(別売)に収録されています。
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白き假名文字[大塚布見子/著]
¥734
作者の抒情は現実から遊離した空想の世界から生まれ出るものではない。あくまでも現実に立脚し、現実に目を見据え、目の前に広がる自然への深い凝視の中から創造されるものなのである。つまり、布見子の描く抒情は、空想とか幻想と訳されるファンタジーの世界ではなく、童話やおとぎ話といったメルヘンの世界であると言えよう。(一ノ瀬理香「解説」より) 小暗(をぐら)きに降りくる雪は天(あめ)よりの白き假名文字とめどもあらず 夕映のつかの間にして消えゆけばさくらはふたたび白きしづもり きさらぎの日の明るけれ山鳩の声はひかりの果(はた)てよりする 定価:667円(税別) 判型:文庫判ソフトカバー 頁数:121頁 ISBN:978-4-906846-127-0 発行日:2015年10月15日 発行:現代短歌社
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月語抄[伊藤一彦/著]
¥734
闇の暗さが深ければ深いほど月の光は際立つ。悩みや迷いが深いほど、月光は一条の救いの言葉となり、恩寵となる。悩みは人間としての誠実さのしるしであり、突き詰めるからこそ苦しいのである。(谷岡亜紀「解説」より) 時間なき闇におのれを放つべく睡る夜ごとの声もなかりき 桃落つる音して見えぬくらがりや死者涵(ひた)す水われに充ちくる 何ゆえに奢り心のさびしきや月夜ふたたび貧血したる 定価:667円(税別) 判型:文庫版ソフトカバー 頁数:107頁 ISBN:978-4-86534-121-8 発刊日:2015年9月28日 発行:現代短歌社
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沈黙の塩[安森敏隆/著]
¥734
想像力の極北をして鋭く彫琢された言語イメージが紺青の階調にむせぶ。不在と存在、生と死の形而上学は、夢と愛のイリュミナシオンに蒼然と収斂されている。(太田代志朗「幻想論序説」より) 父をこえ赤道を越えなが母はなれをはらみき杳き罪あり 契約は卓上の塩くちびるは永遠(とは)にうるめる黙契の種子 うばひあふこと逢ふたびにおぼえゆく 神にあらざるものの住む街 定価:667円(税別) 判型:文庫版ソフトカバー 頁数:139頁 ISBN:978-1-86534-084-6 発刊日:2015年3月29日 発行:現代短歌社
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無数の耳[大西民子/著]
¥734
たとえ表現された歌の内容にたどり着けてはいないとしても、民子の歌にはその世界に身を委ねていられるたのしさがある。民子の歌の底には、さびしさ・かなしさ・なつかしさが深く漂っている。ただ甘く夢想的な歌との違いが、そこにある。(坂梨隆三「解説」より) 切り株につまづきたればくらがりに無数の耳のごとき木の葉ら てのひらをくぼめて待てば青空の見えぬ傷より花こぼれ来る みづからを錘(おもり)となして沈みゆく夜々に藻草(もぐさ)のまつはりやまず 定価:667円(税別) 判型:文庫版ソフトカバー 頁数:121頁 ISBN:978-4-86534-040-2 発刊日:2014年8月24日 発行:現代短歌社
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白銀乞食[恩田英明/著]
¥734
今までは比較的安らかに作歌を続けてきたのだが、もう、そうはいかなくなるだろうという予感がするのだ。文学としての短歌の達成を欲するからには、あらゆる作家、作品に対峙せざるを得ないだろう。故に私はその出発の足掛りとして、この集を編んだのである。(恩田英明「あとがき」より) 吹く風の煽(あふ)るままにて馬酔木の花盛りなる樹の内部(なか)見ゆるまで 喉(のど)渇くわれは泉にはらばひてさびしき空の底を覗くも 口付けてなにか危ふし笑み割るる柘榴(せきりう)は種子こぼれむとして 定価:667円(税別) 判型:文庫版ソフトカバー 頁数:109頁 ISBN:978-4-906846-95-5 発刊日:2013年10月10日 発行:現代短歌社
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ガラスの檻[稲葉京子/著]
¥734
初期の稲葉作品は、一見、伝統的な近代のリアリズムを継承しているように見えるが、その実、どの歌もさりげなく仮構がほどこされている。それは、修辞という意味合いではなく「大切なものは目に見えない」という悲哀と、「自分にだけ見えてしまう」畏怖の念であろう。(菊池裕「解説」より) いつの日か倖せを山と積みてくる幻の馬車は馭者のない馬車 いとしめば人形作りが魂を入れざりし春のひなを買ひ来ぬ 君もまた知りてゐるべき静けさの中にして吾に満ちて来し毒 定価:667円(税別) 判型:文庫版ソフトカバー 頁数:111頁 ISBN:978-4-906846-89-4 発刊日:2013年9月8日 発行:現代短歌社
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壜と思慕[千々石久幸/著]
¥734
わたしは、現実を超え、日常世界と屹立する空間に永遠の生を彫り、存在することへの問いを架けわたしておきたかった。それはまた、日常をくまどる言葉との戦いであり、私の内奥に眠る言葉になる前の世界へ、その言葉によって突出していくことであった。(千々和久幸「一瞬の虹に」より) 砂に壜埋めゆきしあとの感情を吃らせて夏のいく日か過ぎぬ 人を恋い或いは恋われゆきし日を区切らせ淡く雪降りつげる 約束を反故となすよりほかになきあなたも桜見て帰らんか 定価:667円(税別) 判型:文庫版ソフトカバー 頁数:115頁 ISBN:978-4-906846-80-1 発刊日:2013年7月25日 発行:現代短歌社
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近藤芳美論[大島史洋/著]
¥2,096
戦後歌壇の巨星、近藤芳美に長く師事した著者による評論集。晩年の近藤芳美への貴重なインタビュー、近藤芳美120首選を収録。近藤芳美著作目録、研究書・参考図書・雑誌特集号を附す。 定価:1,905円(税別) 判型:四六判ハードカバー 頁数:224頁 ISBN:978-4-906846-84-9 発行日:2013年7月24日 発行:現代短歌社
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伊藤一彦歌集『暝鳥記』
¥734
SOLD OUT
『瞑鳥記』は私にとって血なまぐさく、それゆえ、ときに生への激しい希求を感じさせる歌集である。(大口玲子「解説」より) 水中のようにまなこは瞑りたりひかるまひるのあらわとなれば われらもつあるかなきかの自由よりゆたかなるかな 一滴の血 おとうとよ忘るるなかれ天翔ける鳥たちおもき内臓もつを 定価:667円(税別) 判型:文庫判ソフトカバー 頁数:104頁 ISBN:978-4-906846-30-6 発行日:2012年11月27日 発行:現代短歌社
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朝の歌(マチナータ)[三枝浩樹/著]
¥734
SOLD OUT
即物性と抽象性、この二本の糸の織りなす緊張関係のあわいにこそ詩的世界の豊饒性は生まれうる。そのみずみずしい手ざわりと抽象する鋭さに向かって、わが歌の翼ははばたくのだ。(三枝浩樹「〈朝の歌〉覚書」より) 〈少年〉の声に呼ばれてめくりゆく古きノートのなかの夕焼け 一歩踏み出せばくらき想念の海ありて暗涙のごとしも 信仰の樹林へ歩みそむる頃眼は痛ましきまで何も視ず 定価:667円(税別) 判型:文庫版ソフトカバー 頁数:121頁 ISBN:978-4-906846-74-0 発刊日:2013年6月27日 発行:現代短歌社
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空に響る樹々[秋山佐和子/著]
¥734
子どもに対しての透明な母性と夫に対するときの官能性、両者がいかにも純真に発露する作者像は、作者本来の素直さと優しさ、恵まれて安定した生活の実感に裏打ちされて、ゆったりとした説得力をもっている。(米川千嘉子「解説」より) 幹を抱くふたり子の指届くとき銀杏ひときは明るく燃ゆる アスファルト焼けつくハーレム犬の背に老婆のろのろ水流しやる ビルは垂直 湖(うみ)は水平 原初よりをみなは男をまろやかに抱き 定価:667円(税別) 判型:文庫版ソフトカバー 頁数:116頁 ISBN:978-4-906846-59-7 発刊日:2013年5月6日 発行:現代短歌社
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水廊[大辻隆弘/著]
¥734
SOLD OUT
疾風にみどりみだるれ若き日はやすらかに過ぐ思ひゐしより わたしはこの一首を現代の青春歌の代表的な一つに算えたいと思った。大辻君は三十にまだ到達していない青年だし、わたしとは一世代以上年齢がちがう。それなのに、この人の歌には、かれの青春と同時に、一世代以上前のわたしの青春も映っているような気がして心いたむのだ。(岡井隆「解説」より) 定価:667円(税別) 判型:文庫判ソフトカバー 頁数:121頁 ISBN:978-4-906846-34-4 発行日:2013年1月6日 発行:現代短歌社
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方代を読む[阿木津英/著]
¥2,619
方代の歌は、無名の大衆であることの謳歌である。学問が無くても、エリートにならなくても、金と名誉に縁遠くても、人間として立派に生きていけるのだという自負があり、根づいたものの思想がある。これはマス・メディアの作り出した近代的な〈大衆〉とは似て非なるものであるばかりか、むしろそれをきびしく批判するものである。それゆえに、わたしは方代の歌をこそポスト・モダンと言いたいのである。(「あとがき」より) 定価:2,381円(税別) 判型:四六判ハードカバー 頁数:249頁 ISBN:978-4-906846-20-7 発行日:2012年11月1日 発行:現代短歌社
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橋本俶子歌集『交野原』
¥2,750
第10回現代短歌社賞候補作をもとに91歳で上梓する第一歌集。 「橋本さんは、現前の景である〈いま〉から、はるかなる〈過去〉や〈時間〉を見渡す。 人類の愚かさと悲劇を見渡し、現在の私たちのあり方を照らし出す。」 黒瀬珂瀾(帯文より) 市民らが土囊築きて空爆より守りし絵に射すほのかな光 大漁旗のような賀状が届きたり去年福島へ帰りし友の 九十歳のわれを頭に四姉妹もう十年生きてテレビに出ようよ 定価:2,750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:188頁 ISBN:978-4-86534-418-9 発行日:2023年3月7日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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柳重雄歌集『空白地帯』
¥2,750
SOLD OUT
妻が急逝した後の心の空白地帯を言葉が埋めてゆく痛切な第一歌集。 紫陽花の花毬重きまひるまの妻亡きあとの空白地帯 金木犀香り静かにしのびよる 君がひそかに近づくようだ 遮断機が降りてゆくとき胸の中に逢えなくなった君が現る 定価:2,750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:208頁 ISBN:978-4-86534-416-5 発行日:2022年12月28日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院
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和田守玖子歌集『空の家族』
¥2,750
「和田さんの歌を初めて読んだ時、その「向日性」のエネルギーに圧倒された。」 楠 誓英(帯文より) 少女時代から難聴に苦しみ、学校現場で同じ障がいを抱えて 傷つく子どもたちと向き合ってきた著者。 その声は、空のように明るく、悲哀に満ちて、私たちを包みこむーー。 77歳の新人の清冽なデビュー作。 耳内に壊れたラジオ一つあり少女の頃より夕ぐれに鳴る 血縁はなくてもあなたは娘なの唇を読まない術を教える うず高く積りし落葉舞い上り空の家族が呼ぶ声がする 定価:2,750円(税込) 判型:四六判ハードカバー 頁数:136頁 ISBN:978-4-86534-413-4 発行日:2023年1月26日 発行:現代短歌社 発売:三本木書院